かぜ、がぜ

久しぶりに風邪をひいた。何ヶ月ぶりだろう。

ひきはじめ、寒気がするタイミングで葛根湯を飲んだ。漢方の味と、添加されてるベタベタな甘みが嫌いではない。”効きそう”な味。

翌朝治ったと思ったら数日後にまた風邪をひいた。再度葛根湯に頼ったけど本格化。頭痛頭痛鼻水。関節痛。

幼い頃、熱があるときはベッドに横たわっていると、天井がぐるぐるというか、うねうね・ぐわんになったのを思い出した。怖いような、でも少し気持ちいいような。ディズニーの「ダンボ」で、象たちが踊っているサイケデリックなシーンって、その感覚にちょっと似ていると思う。あれはドラッグだが。あれをもっとなまっぽくした感じだ。あのぐるぐるうねうねは大人になると起こらなくなってしまうのだなあ。ある日突然、妖精がみえなくなるように。ちょっとさみしい。あ、でもいまでもたまに、すごく寝不足の時とか普段と違う状態のときに、うっすらあれをかんじとることがある。思い出しているだけかも。妖精の鱗粉がかすかにみえる日。

うねうね・ぐわんのほかに、すごくちいさいものが巨大に感じられる(うまく言えない)パターンもあったなあ。

子どもと大人は全く別の生き物で、あるとき突然世界との接続の仕方が変わってしまうような気がする。とくにきっかけもなく。 まだひとりでまともに歩けなかったころの、すべてが未知な外界への知覚って、今じゃ想像も及ばないくらい鮮烈だったんだろう。まぶたのむこうでまぶしい光とか、肌をなでていく風とか、なにかを言っている声とか。いまのわたしに見えないもの、感じられないものを受け取れるのは全然不思議ではない。逆に言えば、人間のまねを長年やってないと知覚できないものもすっごいあるし。あー、この前食べたウニおいしかったなああああああ。